海が観たい!
だいたい年末の29日ごろになると、家人はそんなことを言い出す。海をみると元気が出てくる……と。そういわれてぼく自身も海がみたくなるからなんとも摩訶不思議なものである。
かくして、早朝からクルマを走らせることになる。今年も昨日、29日の朝8時に出発となった。さいわい天気もよさそうである。ドライブにはもってこいの日和だった。
16号を南下して福生、横田基地のヨコをすりぬけ、八王子、橋本、相模原、厚木、平塚……。まったく渋滞もなく、10時まえには、はやくも平塚の海に突き当たっていた。
いつものように辻堂海浜公園の駐車場にクルマをとめた。烏帽子岩から江ノ島までがみわたせる湘南の海、風もなく穏やかに凪いでいた。
誰もいない海……。そんな歌の文句もあったが、この季節、ほとんど人気はない。まるで烏の群れのように海辺を彩るサーファーの姿もほとんど見あたらなかった。
「海……というのは、なんどみても不思議……」という家人は、それこそ不思議な人種だなあ……と思いながら、半時あまりも砂浜をあちこちあるきまわっている不可思議な自分がそこにいた。
海沿いの道路をいつものように江ノ島へ。弁天さまの参道はこの季節でもにぎわっていた。神社はすでにして初詣の参拝者をむかえる準備もととのっているようだった。
昼食は今回にかぎり江ノ島ではなく茅ヶ崎までもどって、網元ナントカという店をえらんだのだが、開店前の店先にはすでに行列ができていた。かろうじて駐車場の空きをひとつみつけてもぐりこむというありさまだった。
帰途、湘南大橋をわたりながら、「あと4日か……」と思った。新春の2日と3日、その界隈は箱根駅伝の舞台になるのである。2日の往路は第3区、3日の復路は第8区である。
往路の3区・8区(21.5㎞)ともに海岸線を走がゆえに、海風の影響をうけやすくスタミナ勝負の区間となる。とくに往路の3区は前半のポイント区間として、各チームとも最近はエース級の選手を配してくる。
年末に海を観て元気をもらい、明けて新年には箱根ランナーから元気をもらう。そのようにして一年は暮れてゆき、そして、また新しいつぎの年が明けてゆく……。いつも変わらぬ年の瀬である。
Takehisa Fukumoto's essay and column studio
2009-12-30
誰のいない海!
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このBlogは小説書きの福本武久が「京おのこ」としてmixiにアップしている日記を再録したものです。
筆者が「見たこと」「聞いたこと」「考えたこと」を備忘録がわりにランダムに書き記してゆきます。自身の書く小説の舞台裏だけでなく、30年間追っかけている「駅伝・マラソン」のこと、仕事をはなれて、「競馬」や「競艇」についてのトピックやエッセイなど……。
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