ひろい休耕地に秋桜が一面に咲きみだれていた。群生する色とりどりの花のうえをわたってくるかすかな風が汗ばんだ躯には心地よかった。
爽やかな朝である。数日まえまで豪雨をもたらした空模様、あれは何だったのか。まるでウソのように晴れわたり、涼風がふきぬけている。ひさしぶりのランニング、気持ちがよかった。季節はいつしか秋もようである。
いつしか……といったのには理由がある。今年は春から夏そして秋への移りなど、まるで無縁の日常だった。まもってやらねばならない、かよわき生命によりそって、まる5ヶ月、ひところは午も夜もなかった。
晴れて解放されたのは昨日である。そして、一夜あけて今朝……。群生する秋桜をみて、秋なんだなあ……と、ふとわれにかえった……というわけなのである。
この夏、ほとんで外界から隔離されて、まさに冬眠ならぬ夏眠しているうちに、わが日本ではおおきな異変がおきていた。伝統的なシステムがふたつも崩壊していた。
ひとつは大相撲である。もはやなんでもあり状態になってしまったようである。朝青龍のお騒がせにはじまり、暴力・リンチ事件とつづき、さらにはこんどのドーピング疑惑にいたり、完全にトドメを刺されてしまった。
もうひとつは自民党による政治である。一国の総理大臣が壁にぶちあたって、あっさり政権を投げ出してしまう。率先して困難に立ち向かい、若い人たちの模範にならねばならないリーダーが、あっさりと尻尾を巻いて逃げ出してしまう。そんなテイタラクで日本の未来なんてあるのかね。
かくして総裁選という茶番劇がはじまり、候補者5人のうち誰かが跡目をひきつぐというわけだが、2度あることは3度ある……というから、またしても、どこかで「投げだし」て、3人目の無責任男になるやもしれぬ。
11月には解散・総選挙らしいが、そんな末期的症状のたそがれ自民党に、もし野党が負けるようなことがあれば、日本の政治も完全に息の根がとまってしまうだろう。だからといって野党とて信頼するに足るというわけではないのだが……。
いずれにしろ……。風わたる晩秋の総選挙で国民はどういう審判をくだすのか? それによって、国民は果たして「バカなのか、カシコイのか」、そして、この国のゆくえもはっきりとみえてくるだろう。そういういみでは、今年の秋は日本の近未来を決定すける分岐点になるのかもしれない。
Takehisa Fukumoto's essay and column studio
2008-09-10
風わたる秋!
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このBlogは小説書きの福本武久が「京おのこ」としてmixiにアップしている日記を再録したものです。
筆者が「見たこと」「聞いたこと」「考えたこと」を備忘録がわりにランダムに書き記してゆきます。自身の書く小説の舞台裏だけでなく、30年間追っかけている「駅伝・マラソン」のこと、仕事をはなれて、「競馬」や「競艇」についてのトピックやエッセイなど……。
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