野口みずきが北京五輪マラソンを欠場する。各紙のニュースで報道されているとおり、左太ももの肉離れが発覚、その去就が注目されていたが、12日に出場が不可能と判断、日本陸連に出場辞退を申し出たというのである。
もし野口が完調で出場すれば、女子で史上初の2連覇が濃厚だっただけに、マラソンファンとしてはたいへん残念である。しかし、もっとも悔しい想いをしているのは野口本人だろう。
野口のケガは高野監督が「大腿(だいたい)二頭筋の肉離れと半腱様筋(はんけんようきん)の損傷」だという。野口のケガそのものについては驚きはない。 いつかは、このようなかたちで競技から去ってゆくのだろう……という予感があったからである。
アスリートはすべからくケガと紙一重のところまで躯を追いこんでいる。そうでなければ国内予選ですらも勝てない。ましてや、国際大会やオリンピックとなればなおさらのことである。
さらに野口のトレーニングは想像を絶するものがある。身長150㎝にもかかわらず豪快なストライド走法が持ち味である。マラソンランナーとしては常識やぶり、まさに革命的な走法というべきだが、その影には壮絶なる筋力トレーニングの積み重ねがあった。
大レースになると負け知らず、鉄人といわれた野口も、この1~2年はつねに故障の影がちらついていた。マラソンランナーの選手寿命は短いとはいえ、まさか野口がここで消える……とは思わなかった。
新聞報道をみて、驚きはなかったが、いかにも「儚いなあ……」と嘆息をつくほかなかった。女子柔道・谷本2連覇!の大見出しが踊る影で、2連覇をめざしながら、ひっそりと消えてゆく一輪の花があった……。
Takehisa Fukumoto's essay and column studio
2008-08-13
咲きほこる花、消えゆく花!
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このBlogは小説書きの福本武久が「京おのこ」としてmixiにアップしている日記を再録したものです。
筆者が「見たこと」「聞いたこと」「考えたこと」を備忘録がわりにランダムに書き記してゆきます。自身の書く小説の舞台裏だけでなく、30年間追っかけている「駅伝・マラソン」のこと、仕事をはなれて、「競馬」や「競艇」についてのトピックやエッセイなど……。
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