大阪ミナミのシンボルともいうべき、あの電動人形「くいだおれ太郎」くんで知られる大衆食堂「くいだおれ」が7月に閉店するという。オープンが1949年だというから、60年の歴史をとじることになる。
「くいだおれ」は食堂ビルである。要するに、ナンデモアリの大衆食堂なのである。父ちゃん、かあちゃんがガキどもを連れて……。家族そろって歌合戦……ではなくて、常ひごろはめったにしない外食というものに繰り出すにふさわしい店、こどもたちをよびこむために店先に電動人形をおいたのである。
当時は「食堂ビル」というのスタイルの店が流行していた。和食、洋食、寿司、麺類から甘党、喫茶……まで、なんでもござれ、いわばファミレスの走りである。当時としては斬新な発想で、外食というものが珍しい時代にあって、こどもたちのあごかれの的でもあった。
「くいだおれ」のほかにも道頓堀には「ドウトン」という店もあった。ビルのフロアごとに洋食、中華、和食と別れていて、好きなものを選べるという食堂ビル、ほかにもいくつかあったと思うが、いつしか「くいだおれ」だけになってしまっていたようである。
「くいだおれ」は団塊の世代とともにうまれ、日本の発展とともに歩んできたが、団塊の世代が定年をむかえるのと同じように、もはや、その使命と役割をおえたとみるべきである。食堂ビルという商法は、もはや時代にそぐわなくなった。閉店は時代の流れというものだろう。
食堂ビル「くいだおれ」の閉店によって、「くいだおれ太郎」くんも定年退職する。しかし、あのキャラクターゆえに惜しむ声がしきりで、再就職先をめぐって、さまざまなに模索されているようだ。
だが……。もはや使命をおえたのだから、あれこれと派手に引っ張り回すのはいかがなものか。60年の功績を称えるイベントはともかく、あとは静かな余生を送らせてやる道を考えてやったら、いかがなものだろう。
Takehisa Fukumoto's essay and column studio
2008-04-09
「くいだおれ」の閉店!
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このBlogは小説書きの福本武久が「京おのこ」としてmixiにアップしている日記を再録したものです。
筆者が「見たこと」「聞いたこと」「考えたこと」を備忘録がわりにランダムに書き記してゆきます。自身の書く小説の舞台裏だけでなく、30年間追っかけている「駅伝・マラソン」のこと、仕事をはなれて、「競馬」や「競艇」についてのトピックやエッセイなど……。
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