2008-04-05
サクラの季節にヤスクニ問題!

 靖国問題というのマスメディアのつくった乱暴なことばで、靖国神社をめぐるさまざまな問題をすべて指している。かって合妃の問題も「靖国問題」といわれ、首相の参拝についても「靖国問題」といわれてきた。

 そういう靖国問題について、コメントするつもりはない。靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」があるが、その上映がとりやめる映画館が相次いでいる。そういう「ヤスクニ・モンダイ」についてちょいと考えてみたい。

 同映画を観たわけでない。だから、いったいどういう内容なのかはいまひとつよくわからない。中国の李纓(リ・イン)監督が約10年間にわたり、軍服を着て参拝する人たちや追悼集会など終戦記念日における靖国神社の風景や、靖国刀を作り続ける刀匠を追うなどの画面構成によって視聴者に何かを問いかけるドキュメンタリーらしい。

 週刊誌の過剰反応もあったが、このたびの騒動がもちあがったのは、自民党の若手議員たちが試写会を求めたこと……ことにある。

 上映を中止する映画館が相次いだのだが、映画館側の言い分は、もし問題が起きると、映画館が入居しているビルのテナントに迷惑をかかるというものである。

 何で迷惑がかかるのか? どういう質の迷惑なのか? 突き詰めてゆくと、その裏には何らかの勢力による恫喝まがいの圧力があったことは容易に想像がつくだろう。いわゆる「触らぬ神に祟りなし」というふうで、いかにも日本的な問題の処し方といっていいだろう。

 試写会のあと一部のメディアから反日的だという声があがり、一部の政治団体が上映中止をもとめる動きがあったらしいが、それもひとつの考え方だから、とやかくいう問題ではない。上映に賛成するも、反対するも、いずれにしても自由である。

 しかし事は上映をめぐる賛否ではなかろう。まず映画を観なければならない。観たうえで、その内容について、喧々囂々の議論をやればいいのである。もし上映すらも実力で阻止するという向きがあれば、それは憲法の保障するところの言論の自由に触れる。

 試写会を求めた自民党の稲田朋美議員は、今になって事前検閲だとか表現の自由侵害などと言われているが、自分の意図とはちがう。表現の自由は尊重されるべきだ……とのべているのだが、騒ぎが多くなって慌てているのだろう。

 ほんとうにそのように思っているのなら、ぼやぼやしてないで上映が実現するように積極的に動くべきだろう。それが火をつけた本人として当然の処し方というものである。

 配給・宣伝を担当するアルゴ・ピクチャーズが4日に明らかにしたところによると、すったものだのあげく、東京都内の1館を含む全国8館が、とりあえず上映することになったという。

 アルゴ側もいまだ妨害行為への懸念から劇場名については明らかにしていない。あちこち調べるたところによると、現在のところ上映がきまっているのは大阪の「第七芸術劇場」、京都の「京都シネマ」というところ。東京はどこになるのかいまのところ不明だが、上映がきまったらぜひとも駆けつけようと思っている。



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