レースとしてのマラソンを走る体力をつくるにはおよそ5ヶ月から6ヶ月ぐらいかかるといわれている。ところが2週間まえの名古屋かマラソンで北京五輪出場の道を断たれたあの高橋尚子は、昨日の記者会見で5ヶ月で3つのマラソン大会(国内3大女子マラソン)に出場するというとてつもない計画をあきらかにした。
国内3大女子マラソンとは11月の東京国際女子マラソン、1月の大阪国際女子マラソン、3月の名古屋国際女子マラソンである。
高橋尚子がそういう内容の記者会見をする……という話は3日まえぐらいに耳にしていた。まさか、ウソだろう……と思っていただけに、あらためて驚嘆するとともに、ある種の複雑な思いがした。
高橋尚子本人が「ヤル」というのだから、傍からとやかくいうことはないが、ちょっとはげしい練習をすれば故障する体になっている現在、あまりにも無謀ではないか……と杞憂するからである。
最近のレースぶりからみるかぎり、勝負を捨てての出走であることは明白である。2010年のベルリン世界陸上を本気でめざすというのなら、そんな暴挙をするわけがないからである。
つまり……。高橋にとって国内3大会はラストラン……になるというわけだろう。そして、あえて高橋が出場に踏み切ったのは、人気者「Qちゃん」ならではの事情ゆえのことだろう。
マラソンランナーとしての高橋は終わっているがメディアの商品としての高橋にはまだ終わっていない。いまだ利用価値がある。人気者ならではの事情というのは、そこのところである。
高橋が出るかでないでは、テレビの視聴率が大幅にちがうだろう。だから、次シーズンの3大女子マラソンは、むしろテレビ局にとって甘い汁を蜜を吸うラストランになるというわけである。
3大女子マラソンのテレビ中継をやるのはどこなのか。東京国際はテレビ朝日、大阪国際はフジテレビ、名古屋国際は東海テレビだがTBS系列である。
高橋はラストランとしてどれかひとつを選ぼうとしたにちがいない。しかし周囲がそれをゆるさなかったというのはうがちすぎだろうか。高橋はもともと八方美人である。あちらを立てれば、こちがが立たず……。煩わしくなって、エイッ……とばかりに、3つとも出るといってしまった。真相はあんがい、そんなところだろう。
プライドを捨てて走ることを決意した高橋尚子はなかなか見上げた根性である。ひたすら無事完走を祈るのみである。しかし偉大なランナーの痛々しい姿はあまり見たくはない。いくら走るのが好きだといっても、もっとちがった人生の選択があるはずだ。高橋にいま必要なのは「そんなのヤメロ!」と声を大にして叱りつけてくれる存在ではないだろうか。
Takehisa Fukumoto's essay and column studio
2008-03-25
無謀なり! 高橋尚子の挑戦!
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このBlogは小説書きの福本武久が「京おのこ」としてmixiにアップしている日記を再録したものです。
筆者が「見たこと」「聞いたこと」「考えたこと」を備忘録がわりにランダムに書き記してゆきます。自身の書く小説の舞台裏だけでなく、30年間追っかけている「駅伝・マラソン」のこと、仕事をはなれて、「競馬」や「競艇」についてのトピックやエッセイなど……。
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